嬉しいと感じた瞬間。12年後のこたえあわせ
先週配達中に嬉しいと感じた瞬間がありました。嬉しくて次の配達先までの道中車の中でホロリときてまいました。えらいすんません。その時はこんな曲きいてまして、、。
ボ・ガンボス 「夢の中」
笠岡の小さなギフトショップ「ふじまる」さんにビールをお届けに上がった時、社長が「ビールを買いに遠方の若い子が来てくれてね、、」と話してくれました。
「ふじまる」さんは笠岡の駅からわずか数十メートルに位置する10畳くらいの小さな売り場ギフトショップです。こちらには旅の方が地元の海苔やヒジキ、うちの麦酒を買いにやってくるようで、その日も遠方からお客様が麦酒を買いに来られました。
休日を取って旅に出られた遠方のお客様は社長と話がはずみ、店内でビールの栓を抜いて飲んでくれたようです。そして、会話の流れで仕事がつらいという悩みを打ち明けらたりもしたそうです。
この若者にとって、「ふじまる」さんで飲んだ一杯は一生忘れられないものになるのではないかと勝手に想像します。店主が親身に話を聞いてくれてながらの一杯は本当に心が暖まるでしょう。僕も似たような経験をしているので、この若いお客様の気持ちが何となく想像できるのです。ですから当時の自分と何となく重ねて社長のお話を聞きながらジーンとしておりました。
僕が20代のころ、スーパーに商品を提案し、大手メーカーの冷凍食品を卸売りするという営業マンの仕事をしておりました。庶民を支えるスーパーマーケットというものは値段が集客の重要な要素といっても過言ではなく、大量に仕入れられる大手はどんどん安く仕入れることができ、小さなお店は同規模の店舗と提携して共同仕入れをして戦うというような図式でしたが、やはり小さなお店は最終的に体力ではかなわないところが出てきます。
ですから、当時自分の持つ小さなお得意様がそういった価格競争に巻き込まれると、どんどん体力を失っていきました。ただ、そんな小さなお店はお客様と近い位置でコミュニケーションをとっているのでお客様と日常的な会話を交わす光景がちらほら見られ、こういった売り場を無くしたくないという気持ちをもって普段の仕事に励んでおりました。
小さな売り場では
「もうすぐお嬢ちゃん小学生やね!」
「今日はえらい遅いやん、仕事残業したんかいな?」
というような会話を交わすシーンが見られます。
僕が育った大阪の松原は個人の八百屋や肉屋があったのでこの何気ない会話は生活の一部でしたが、大型スーパーの乱立によって集客が減り、やはりつぶれていきました。失って初めて気づく大切な存在でした。だから小さなスーパーはどうにかして生き残ってほしいという気持ちが強かったです。
そんなとき、お得意様の一つが大幅にスタイルを変えるという出来事がありました。
「安売りから、安心安全こだわりの食材を」
というような変化です。大手商品を重点的に扱っている自分の会社からの売り上げはガクリと減りましたが、そのスーパーさんは息を吹き返し、今もなお営業されています。僕はその売り場の変化に伴い売り上げを落としましたが、息を吹き返した姿をみて正直嬉しい気持ちが強かったです。その瞬間
「ああ、ぼくはこの会社では生きていけないな、、」
と考えるようになりました。そこからは自分はどう生きるべきかの葛藤ですよね。
家族を養わないといけないし、親に心配もかけれない、でも次のステージを探す必要を感じているが次を踏み出す勇気が出ない。そんな状況で日々仕事をしていると心がどんどん苦しくなりました。仕事が終われば一人で酒に逃げながらボ・ガンボスを聞いては涙を流すというような日が結構ありました。辛いやつですわ😢
そんな時に月一回ペースで通っていた「アイレ」っていう女将さんが一人でされている小さなお好み焼き屋さんがあったんですが、僕の話をよく聞いてくれました。決して否定せず、しんどかったら逃げてもいいのよ。という言葉をかけてくれたときはほんまに心救われました。
そんな状況が続いたことが引き金となり、会社を辞めて今に至るわけなんですが、自分でお商売をさせてもらってからも僕を悩ませ、そして救ってくれた
「小さな売り場は大切や」という価値観
は当然持ち続けています。ですから、ふじまるさんでのこのお話を聞いたときに、小さな売り場だからこそできるお客様とのコミュニケーションとその価値を改めて感じました。
20代のころ守りたかった売り場ってこれやねんな。
あの時の自分に「やっぱ間違ってへんかったで」と伝えてやりたいです。
ふじまるさん、ほんまにありがとうございます。
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