誇れる小さな手仕事。白石島の桑の実収穫に伺いました。

笠岡から船で35分、豊かな自然と広いビーチで有名な白石島。

ここにクラフトビールの材料となる「桑の実」があります。

僕は、毎年桑の収穫時期にお菓子職人ワッキーことPASIONの代表山脇氏に連れられ白石島に向かいます。下の画像は作業後、心地よい疲労感を味わい桑の実を見せびらかす二人。左がワッキーです。

9:00ごろに現場につくとすでに桑の木を揺さぶり実を落とす作業が始まっておりました。

春の日差しは一年でも特に強く、なかなかハードです。

そこそこ高価な磯竿の先端に付けられた金属製フックを木の枝に引っ掛け揺さぶる。すると上から2~3センチのかわいい実が勢いよく降ってくる。景気の良い光景ですね。ブギーマンのパチンコマンが頭の中で流れてくる僕は不純でしょうか(笑)

根気良く揺さぶり続け、ネットに落ちてきた実を集めます。

これで6~8キロある。これをネットの反動を利用して容器にヒョイと移し替える。この技はいつ見ても鮮やかで、一見の価値ありです。

かごに入った実はこんな感じ、いろいろな色の実や葉、ゴミが一緒に入ってます。カラフルできれいですが、これでは出荷できません。完熟している黒光りした実だけを選別していきます。

収穫を終えていざ工場へ!

この中にある葉、赤い実、白い実、汚れた実、つぶれた実、ゴミを手作業で取り除きます。

一つ一つ、実をつぶさないように。

選別を終えた実は洗浄工程に入り、ここでもまた選別されます。ダブルチェックですね。かと思いきや、奥でこれをさらに選別する人がいました。トリプルチェックです!!午前の作業を終え、あとどれくらいかなと後ろのかごを見ると

まだまだあります!がんばるで!!!

見てください、この黒光りした実を。メタリックなツヤを帯びた実が選別され、これが出荷されるものです。

お手伝いする中での体感ですが、選別により35パーセントは使えません。これを全部手でやってます。実がなっている期間を無駄にしないため、この作業を3週間休みなしでやります。すごい。。この食材を僕はクラフトビールの材料に使っているのです。とてもありがたい。

この産業は島に残るお年寄りを中心に続けられており、こういった方の背中を見て少しずつ若い世代も参加するようになりました。この作業は一度参加すると桑の実のありがたさを本気で感じるので、参加者がアツい土産話を持って帰ることで少しづつ広がりを見せているのです。

地域のやさしさに触れ、心地よい疲労感と食べ物のありがたみに触れられる。こういった産業は貴重であり、末永く続いてほしいと切に願います。

この有り難い食材はまさに天からの恵み。ビールになるため最大限絞り切ります。

桑の実が持つアントシアニンで仕込みの麦汁は紫色に染まります。そしてこれが発酵の過程で酸性となり赤く鮮やかに生まれ変わります。


お日様に照らすと赤くキレイに映ります。きれいでしょ?天の恵みからありがたくいただいた雫ということでこのクラフトビールは「天のしずくーアマノシズクー」と名付けました。そして奇しくもこの白石島には「天野さん」という苗字が多く、人の名前にも聞こえてしまう。

というわけでこのラベルの真ん中に鎮座する桑の妖精「しずくちゃん」も誕生しました。かわいらしい妖精しずくちゃんがトレードマークのこのクラフトビール、さっぱりとした味で苦味少なく食前酒としてもお楽しみいただけます。特別な日に、疲れた心を癒すために、おいしいストーリーを感じたい方に、しずくちゃんをよろしくお願いいたします。リリースは6月17日です🍻



六島浜醸造所 Mushimamhama brewery

岡山県最南端の醸造所。そこは人口60人、島の面積1平方キロメートル。小さな島には日本が忘れかけていたライフスタイルや知恵、人のつながりがある。そんな故郷に惹かれ、大阪から移住した男が醸す麦酒醸造所。

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