2021年 雑感

この年を短い言葉で表すならば

「喪失や変化に伴う成長」

大変な一年でした。変化や喪失には大きなストレスが伴いますが、知識をつけながら目の前にある事象と向き合うことでダメージが減るのをなんとなくわかっていたのでとにかく逃げずに学びました。

これによって事業や自身の成長とつながったので、結果的に得られるものが大きかった。2021年はそんな一年でした。


〇お仕事〇

10月までは緊急事態宣言による飲食店営業の自粛や他府県への移動制限により、直接サービングする機会がほぼゼロという月がざらにありました。お客様を直接おもてなしできないのであれば、その気持ちをどうにかしてお届けしたい。

そんな思いで情報発信や通販に対して「お会いできない分その気持ちを込める」ことを意識しながらアプローチしました。


技術的な点では、3年目にて定番3種のレシピについて確信が深まり、根拠に基づいて洗練できたと確信しております。日本のビールコンペにおいて銅メダルも取れました。また、新しい取り組みとして、カカオを使ったエールを作成。カカオの主成分がビールにどういった影響を及ぼすか等を知るため酒類総合研究所の先生に質問を投げかけたところ、とても丁寧に対応して下さり納得のいく仕上げができました。モノづくりにおいて、こういった機関が手を差し伸べてくださるということは大きな心の支えとなります。


また、お客様からTシャツや、醸造所のオリジナルグラスを作らないのかというお声をたくさんいただいており、ようやくその二つに着手できました。


変化の波を泳ぎ切る前に訪れた強制アイドルタイムにて立ち止まり、前向きな思考や動きができたのがラッキーだったと思います。


〇プライベート〇

2月に最愛の母、10月に幼少期から移住後まで見守り続けてくれた祖母を亡くしました。これでもう僕に親、祖父母はいません。母子家庭で育った一人っ子の僕にとってこの二人は大きな存在で、その大事な存在との別れが一度に訪れましたことは相当ダメージが大きかったですし、これは生涯消えることはないでしょう。僕はこれを受け入れ「悲しみの大きさ=与えられた恩の大きさ」と捉えることで素直に悲しみ、感謝を続けることで次の世代にもいいバトンが繋げられると考えてます。


母は3年前にステージ4の肺腺癌が判明し、度重なる治療に一喜一憂しながら最後まで生き抜く姿を僕に見せてくれました。病気が判明し僕は母の前で落ち込んだ顔や泣いた姿は一切見せまいと決意し、とにかく病気のことを学びました。論文や実際に治療を経験された方の記事、そして医療に携わる人との会話から知識をつけることで、自らを保ち、最低限親に心配させない姿勢を保てたのだと思います。母と僕にとってのこの3年間はとてもつらいものでしたが、大切な存在への感謝、別れの準備、バトンの継承をする時間となり、自分はこのおかげで大きく成長できました。


また、きつい闘病をしていた母の楽しみは僕の仕事の話を聞くことでした。

「新作の美味しいビールができたで。」

「コロナで負けることは絶対ないで。」

厚かましいですが、そんな言葉を発せられることで少しだけ親孝行ができたと思ってます。

だから自らを成長させ、初めて親孝行させてもらえたクラフトビール造りに出会えて本当に良かったです。

そしてこの背景には、自分の仕事をささえてくれた家族、師匠、僕を笠岡で応援してくれた人、お客様、お得意様、友人の存在が大きいですし、感謝しきれません。本当にありがとうございます。この恩を胸に成長を続けます。


〇最後に〇

お仕事の情報媒体にプライベートの話はどうなの?という考えもあると思いますが、この事業は法人格をもっておらず、僕の人格と共に存在しております。自分の生きる人生、それに大きく「喪失や変化」といった形で影響される仕事なので書きました。

人生晴れたり曇ったり、味はブレないが、その時の感情によって深みが違う。そんなことを断言できるクラフトビール造りを2022年で体現していきます。


感謝をもって前へ!!

乾杯!!

六島浜醸造所 Mushimamhama brewery

岡山県最南端の醸造所。そこは人口60人、島の面積1平方キロメートル。小さな島には日本が忘れかけていたライフスタイルや知恵、人のつながりがある。そんな故郷に惹かれ、大阪から移住した男が醸す麦酒醸造所。

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