島にとっては当たり前、都会にとっては宝物?シトラスペースエールを仕込みながら

僕が大阪から島に移住して5年がたちます。

👨ご近所と関わりの少ないマンションに住み、

🍖切り身になった肉や魚を当たり前のように食べる。

⚡インフラにおいてはトラブルなんてものはもちろん起こらない。

移住先の僕のルーツ「六島」をはじめとした笠岡諸島はこれらの真逆といってもおかしくない要素がたっぷりです。

👨ご近所との互助関係が強い。

🍖魚は自分でさばく、肉は船に乗り、町に買いに行く

⚡インフラは問題なし。電気ガスは隣の真鍋島のおじいさんが船で運んでくるプロパンガス。またこれがありがたい。たまに海底水道管が破損するのでその時は節水。

これは生活の基礎的な部分。

決定的に違うのが、食材を作っている人、漁をしている人の顔が身近にあるということ。すなわちどんな人がその食材を提供しているかがわかり、一番新鮮なポジションにあるということです。


この写真は六島の漁師さん。漁に同行させてもらったときのもの。

大阪で生活しているとき、こういった「顔の見える」という文言がスーパーなどのパワーワードになっていた気がします。しかし、お店のバイヤーでもない限り直接会って食材を手に入れる機会なんてものは日常ではありえないのです。ほんまに。


これは、クラフトビールに使う金柑です。笠岡諸島の高島-タカシマ-にて。

これはタカシマでペンションを営んでいる漁師さんが送ってくれたものです。

「ビール作りよんならうちの金柑もつかわんか?」

と提案してくださいました。とても柔軟な考えを持たれた方です。届いた後は業務用冷凍庫で保管します。

仕込み前に取り出してみると、しっかりとした柑橘の香りが感じられます。



ひとかじりすれば確かな甘さと濃い柑橘のフレーバーがくちのなかにひろがります。確実にええもんです。これを送ってくれたのはイベントにもよく来てくれるファンキーな漁師さん。


「うちのペンションまで歩くのに、花もええけど腹も満たせるものも植えようとおもーて。柑橘を植えたんじゃ。レモンも甘夏も橙もあるんじゃ」

なんと大胆かつ合理的にサービス精神を表現されているんだろう。さすが漁師さん。と思いました。

柑橘の木がたくさん植えられたおっちゃんの土地は丁寧に草刈りされています。そして土には蛎殻や海からとれたであろうものが混じっています。これは天然の肥料ですね。僕も畑をするときは蛎殻の粉末を使用してますが、ここの土にはある程度原型が確認できるものが見られます。

そして面白かったのが、めんどくさいから農薬散布せず、海のガラを撒いて草刈りだけしているというところ。漁師のおっちゃんならではのシンプルな行動が木にとって良い作用をしているんです。

当たり前のように無理をせず、かといってほったらかしにしない。マイペースに育てられた柑橘たちは今年もたわわに美味しい果実をつけていました。

人柄やライフスタイルに触れ、それを自慢話のように伝えるため僕は今日もクラフトビールを仕込みます。おっちゃん、日本が晴れたら一緒に乾杯しましょうね🍻

ともあれ笠岡市というところは島も本土でもこういった愉快な生産者様がたくさんいらっしゃるわけで、そんな食材と生産者と直接出会いながらモノづくりができている現状にホクホクと幸せを感じている今日この頃です。

ここからビールの話ですが、今回仕込んだものは柑橘由来の香りと、それを後押しするような華やかなホップの香りが特徴のペールエールです。

飲む前に鼻を突き抜ける華やかな香り、そして口から下の奥を通ってのどにたどり着くまでに確実に感じられるホップの強さ。おっちゃんの人生のように飲みごたえのある仕上がりになってます!リリースは6月11日。ぜひお楽しみに🍻



六島浜醸造所 Mushimamhama brewery

岡山県最南端の醸造所。そこは人口60人、島の面積1平方キロメートル。小さな島には日本が忘れかけていたライフスタイルや知恵、人のつながりがある。そんな故郷に惹かれ、大阪から移住した男が醸す麦酒醸造所。

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